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事業承継型M&Aの動き〜後継者不在のため多くの中堅・中小企業が廃業する実態

2004年の年間廃業社数約29万社のうちの約7万社の廃業が「後継者がいない」ことが原因であると推定されており、雇用が完全に喪失されたと仮定しますと、実に毎年約20万人035万人もの雇用が失われています。(中小企業白書)

中小企業事業円滑継続法案

中小企業固有の特徴は、企業の所有と経営が分離されていない点です。
殆どの中小企業では、その経営者が株式の過半数以上を保有しています。
中小企業で代表取締役社長が交代する場合、代表取締役社長の地位を後継者へ譲っても、会社の株式移動を伴わないとどうなるでしょうか。

(1)新社長である後継者は経営権の無い雇われ社長に過ぎず、前社長がその企業の議決権の過半数以上を持つオーナーという関係になりますので、事業の承継になりません。
(2)前社長の相続という事態になると、株式は前社長の一族に分散して相続されるので、 それぞれの被相続人がそれぞれの意見を持つという事態になり、企業経営上の大きな問題になります。

中小企業では、取締役社長の座を譲るときは、保有する株式を同時に譲渡しなければ、将来、相続に伴う議決権の混乱を回避できなくなっていました。
そこで、政府は来年(2008年)の通常国会に中小企業の事業承継を円滑に行うための「中小企業事業円滑継続法案」を提出して、2008年10月を目途に施行する見通しです。
この法案には、主に以下の内容が盛り込まれています。

(1)遺留分に関する民法の特例の創設により、前社長の相続時には、遺言書などで株式を分散せずに後継者に相続できるようにする
(2)政府系金融の融資対象に後継者個人も含め、後継者が後継者以外の保有する株式取得する場合政府系金融が低利融資することで、株式取得を支援
(3)相続後5年間は、1.従業員数を80%以上確保、2.相続した株式の保有などの「承継状況」を経産相に報告するとの条件が付きで、相続税算出の際に非上場株の課税価格を大幅に減額

このように、法案施行後は後継者への経営譲渡にかかわる金銭的な負担が大きく軽減されます。
また、株式も後継者へ円滑に渡すことができる様になります。これにより、これまでの様に事業承継に伴う経済負担や株式の集中が原因となった後継者M&A(株式譲渡=会社売却、事業譲渡)の数は大きく減ると考えられます。

しかし、後継者自体がいない場合は、M&A(株式譲渡=会社売却、事業譲渡)が企業承継に引き続き有効です。また、後継者へ円滑に株式を手渡すには、第三者による助力(M&Aとは限りません)が求められるでしょう。